めだかのおさんぽ

親子で楽しむ子育てサークル「めだか共同保育所」です♪自然と人との関わりを大切に子育てしています。

母子の孤独や子どもの成長と向き合う~めだか共同保育所を開設した3人のおはなし

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めだかコラム

こちらの記事では、めだか共同保育所の開設者の方のお話をご紹介します。

 

(※1996年6月16日に作成された手書きのレポートを、書き起こしています。)

 

 

開設10年をふりかえって、いただいた言葉

 

最年長であるI三さんに「始めた頃は、まさか長々と引き継いでくれるとは思ってもみなかったので、今更ながら驚きと感動を覚えています。

今日、開設した3人と今のめだかの皆さんと10年(9年半)のまとめが出来たらいいなぁと思います。」との挨拶をいただき始まりました。

 

 

子どもとの生活が不安、納得のいく保育所があれば…(M尾さん)

 

「子どもといつも家にいて自分の生活が子どもに占領されていたことに、ものすごく不安を感じていた。


自分の納得できる保育所があれば、

そこに子どもを預けて自分の生活が大事にできるかなぁ…

『あまりいい母親ではなかったかもしれないけど…』という思いがあった。

 

保育所に預けても、親のこうしてほしいが伝わらない。

 

自分の納得する保育所がないなら自分たちで作るしかない!


ナチュラルコープ(グリーンコープ)に入った時から、

 

保育所ができるといいネ。

預けるだけの保育所ならきちんと保母さんもいて…

保育所を)作るというのは大変だから、母と子どもで集って、子育てや食べ物の事を考えたり…


そういう事が出来ればいいかなという事で、母親に呼びかけてスタートをきりました。

 

そして思いがけない事に63名の申し込みがありました。

 

最初『こういう保育所にしよう』という思いがすごくあったし、

 

・大切にしてきたものをどうしたら出来るか

・どうしたら後から入ってきたお母さんに納得してもらえるのか

 

親の会や毎日ミーティングをして確認をしながら続けてきました。」

 

 

母と子の居場所、そして自分たちの子育てができる場所を(I三さん)

 

「大分の前は、柳川の託児所で保母を2~3年した時に食物運動をして、

グリーンコープを作ったという経験をもっていて、

子育てが原点だなぁ…と思っていたので、

 

大分でグリーンコープを作る時に切り離せないものとして

『保育、子どもの問題』を考えていきたいと思っていた。

 

当時子どもはいなかったが、アトピーの子が多いし、アトピーの子は保育園、幼稚園ではじき出されてしまう。

 

大分に来て子どもたちが地域で遊んでいない核家族が多い為、日中母と子で過ごす…というのが目につく中、

 

・子どもの集団が必要だ。

・母親も孤独でつらい。

・母と子の集団があった方がいい。

 

そして、自分たちの思いが実現出来るような子育ての場がほしいなぁという思いがありました。」

 

 

共同保育所設立の大変さ、目指すものの確立(K坂さん)

「めだかに関わったきっかけは、I三さんとM尾さんに会ってしまったという事です。

 

横浜で共同保育をやっていて、上2人の子どもは共同保育で育てた経験があります。

預ける所がないという母親たちが集まって作った共同保育所でした。

 

大分に帰って共同保育所を作りたいと話を聞いた時、最初は反対しました。

 

建物を建てる時、バザーをやったりと資金集めをしてやっと建てたのに、あれを最初からまたやるのかと思うと反対したんですけど、

自分も子どもがいたし、楽しかった思い出もたくさんありましたので、3人で保育所を作ろうという事になりました。

 

めだかでも随分バザーをやりましたし、広報で呼びかけたり、保育所を見学に行ったり、斉藤先生の映画、研修会を見に行ったりして準備をしてきました。

 

そんな中、前の理事長に「何で生協が保育所を作らなきゃいけないんだ」と反対されたり、意義をわかってもらえなくて苦労しました。

 

そして1年後、M尾さんはお連れ合いの転勤で、

I三さんはKすけがダウン症だったので生まれ故郷の柳川に帰ってしまい、

自分も第4子が生まれたこともあって、めだかに6年も関わることになりました。

 

暮れの忘年会では『シーラカンス』と呼ばれていました。

 

3人で最初に立てた『5つの目指すもの』があったけど、

こういう風に言っちゃうと『あぁそうか』と思うけど、

日々保育の場で具体的にどうするのかという事が6年かかって、形が出来てきたかなぁ…と思います。」

 

 

めだか共同保育所の運営にあたり苦労した点

 

①場所の問題と近隣住民への配慮

 

場所の問題として、光吉台の家を借りることに…。

もう少し調査をすればよかったんだろうけど、閑静な住宅地だった。


K坂さんの所の甘夏を持って近所に挨拶に回った時は、みんな「はいはい」と言ってくれたが、
始めて1か月で近所の方からうるさいと苦情が来た。

 

人数としても次々に入ってくるので普通の家ではおさまらないとの事で、

M尾さんが田尻グリーンハイツに住んでいたこともあり、田尻グリーンハイツの集会所が条件も良かったし、フロアーも広いし、環境も良かったとの事でした。


旦野原保育園も、苦情がきて気苦労しているそうです。

 

子どもを萎縮させないように…という事も大事だけれど、

そこで生活している人達は年配の人が多いので、よそからドタドタこられて「うるさい!」と迷惑なので、

うまく配慮していくことが長く続ける為に大事になる。

 

住宅街でなく、広々とした多目的ホールが出来るといいな…と思う。

 

 

②共同保育への批判や理解の獲得


「なぜグリーンコープが保育をやるの」と「共同保育は子育てをするのが嫌な母親がやるんじゃないか!

自分の子ぐらい自分の家で面倒を見ないとダメだ」という事があったので、

そういう意見からかなり批判もされていた。

 

子どもの共同性は母親の共同性から生まれるといっても、なかなか理解を得られなかった。

(※母親の他社との関わりをみて、子ども達も社会性や社交性を身につけていくということ)


ただ時間をかけて理解をしてもらおうと思ってスキップを発行。

半年してめだかの報告会をしたら理解してくれる人が出てきた。

 

 

③めだかの理念や考え方の継承

 

新しく入ってきたお母さんに、

  • 子どもの叱り方
  • 遊ばせ方
  • けんかの時の対応の仕方

をいろいろと理論した。

 

日常のミーティングだけではできなくて日曜日に集まって会議をしたり、

忘年会をして話したりとか共有を作っていった。

 

 

生活リズムや食について


ミーティングの時子どもはお昼寝をしますが、お昼寝をするような年齢の子でも、「うちの子はお昼寝をしません。」と言う親がいる。

 

家庭の生活リズムが出来ていない。お昼寝をしない子はどうするか。

 

  • 朝、昼、おやつ、夜食の、4回食の考え方、子どもは胃が小さいので…等
  • 早寝早起き等、子どものバイオリズム(高低の周期をもった人間の活動のリズム。身体、感情、知性の3つのリズムがある。)
  • おやつも、お菓子やジュースをあげるのでなく、お焼きを作ったり

 

めだかのおやつは違和感があるが、子どもの体の為の食生活でいいんだと、自分なりの信念があったし、母親たちに理解をしてもらう為に話し合いを続けてきました。

 

めだかでは、こうするんだ…という事、こうしたい、こうしなければ…こういう理由から、家庭でも生活リズムを作って欲しい。

 

お弁当にしても、きれいに詰めているけど、よく見ると果物がいっぱい入っていて野菜が少ない。


お弁当の事まで口を出すのははばかるので、「子どもの食生活はこうあるべきよネ。」といった話し方で、子どもの生活もだんだん変えていってくれたらいいな…という気持ちがある。

 

それの理解を求めるのに苦労しました。

 

 

安全な手作りのおやつ

 

安全な手作りおやつグリーンコープのカードをめだか用に作って、卵、牛乳を使わないできつい除去食の子の為に、2種類の鍋、ボール等を用意しました。

 

そして出来ればみんな同じものを食べて欲しいので野菜が中心でした。

 

お誕生日会は全人的発達のため、包丁組さんにしてもらって「ネコの手」をしたり、

よそ見をしない事、やりたい子にはちぎらせたり、その年齢に達していない子でもやらせて柔軟にしてきました。

 


お弁当の中に果物が入っていたら、子ども達はそれから食べちゃうので果物の事だけは、(おやつの時に食べられるし)示し合わせました。

 

あと、小さい子はお母さんのお弁当からちょこちょことったりするので、「1回で食べれる様にその子の弁当を用意させて、どれだけ食べたか分かるようにして欲しい」と言いました。


そして、アルミはダメ…プラスチックの危険性を学習して納得をしてもらいました。

 

しおりを見て、やめる人もいた。

 

 

野外活動や自然との共生


野外では歩くこと(基本)、雨降り散歩等、雨が降った時にしか見れないものがある。

 

雨の時はズルズル引きづり出して、その時には「レインコートと長ぐつを持ってこようネ」とお約束してやってきました。


自然との共生ですが、

都会で育ったお母さん達の自然とは木や草の事で、極端な言い方をすれば公園の花や木と遊べば自然と触れ合ったと思っている。

 

そうじゃなくて、森や林に行ってあるがままのものと触れ合っていく事が自然なんだという事を分かってもらう事が苦労した。

子どもっていきなり連れていっちゃうと自然が嫌になっちゃうんですヨ。

ひっかくし、虫は来るし、臭うし、ぬかるし、滑っちゃうし。

 

それを親が用意するべき事として靴をきちんと履いて来る。

夏でも、長袖、長ズボン。

虫にさされたり、いばらの道?!も歩ける様に…といろんなものを用意してもらいました。

 

虫にさされるのが嫌な子は、そのことが理由でお外が嫌になったり、森に行くの

も嫌いになったりするんですヨ。

 

Butそんなの長袖1枚着せればいいことでしょう!

 

どっちの方が一番大切かという事をわかってもらいました。

 

自然のことについては、OBの後藤ルミ子さんが「森と遊ぶ会」に入っていて随分詳しかった。


西寒多の植物や生き物について教えてもらって、ただ川に行ってバシャバシャ遊ぶだけでなく、どじょうの持ち方、どんこのすくい方等1~10まで教えてもらって、へびも恐くないんだよネ…という所まで達する事ができた。


やっぱり親も好きでないと出来ない。

 

せいぜい野いちごがどこに生えているのかぐらいでは…子どもは食べ物がある、何が食べられるか、何が毒かという事は親の知識として必要だけどそれだけではない。

 

もっといろんな物を発見して親が「あぁー、面白いネ」ってならなきゃ、子どもがついてこないのでそういう所も勉強したらいいなぁと思いました。


野外での遊びを少しずつ取りいれてきました。

 

よっぽどでない限り公園には行かない

 

田尻グリーンハイツからだと西寒多がちょうど良いコースで、大きい子は歩いて行っていました。

ただ住宅街をぬけるので大人達は疲れ果てるんですが…。


小学校の前を通ると小学生がみんな手を振ってくれるので楽しく行きました。

 

野外での遊びがもっと出来るように「とんぼの会」を作りました。

大きい子が小さい子のペースだと遠くに行けないので、どんどん歩いてどんどんやぶの中に行ける様にしました。

 

 

異年齢の子ども集団

 

異年齢の子ども集団ですが、今、低年齢になってきましたが、当時は就学時までいた。


来年小学校に行くという子が5、6人は揃っているという状態だったので、上から下まで0~4,5才の子がいるのは強みで、一人っ子だったり、末っ子だったりする大きい子が本当にいい関係を作っていったりする。

 

赤ちゃんに対しても、おなかの大きいお母さんに対しても優しい目がいくので。


めだかに週2回行き始めると4才ぐらいになるともたないんですヨ、親の方が。

どんどん遊びに連れて行け…と。


で、保育園(幼稚園)に入れちゃう親が多くて、年齢的に随分低くなってしまったと聞いて、残念だなぁと思います。


異年齢の持つ大きさというものを、特に保育園の異年齢は数が違う。


80人単位で。


10人ぐらいで5~1才までいて、本当に兄弟みたいな育ち方をすると随分違うものを得られるんじゃないかと思っています。

 

 

わが子意識を越える


我が子意識を越える…皆、子どもは呼び捨てにしました。

 

最初のメンバーは一度にワッと始められたけど、

後から入ってくるお母さんたちは「さっちゃん」って呼んでるから自分はさっちゃんだと思い込んでいる。

 

今さら「さちこ」って呼んだって分かんない。


とか、何でそういう風に呼ばれなきゃならないのか、呼び方にまで文句をつけるのか、それから自分は子どもをていねいに思っているから出来ないって方もいました。

 

つねに、「ちゃん」とか「さん」とかでないと呼べないという人もいた。


随分重ね重ねをしました。


入ったばかりの子には「〇〇ちゃん」と呼ばれていたのを「〇〇」といきなり呼ばれると、子どもの方がビクついて絶えられないという事もありましたが、少しずつ親が変わらないと…。


「〇〇ちゃん」と呼ぶのはよその子なんですヨ。

 

呼び捨てに出来るゾ!!という自信ができないとなかなか呼び捨てにできないんだけど、やっぱり呼び捨てにできる子はすごく可愛い。

 

可愛いというかすごく責任持とうとか思うし、見る時もきちんと見なきゃと思う


自分の中でその子と呼び捨てに出来る関係を作っていく事が大事。

 

 

大人達は名前で呼ぶようにしました。

 

私達は夫の苗字を名乗っている。


結婚して苗字が変わった時違和感があったと思うし、
勤めている方はうれし恥ずかしで言ったのか、もう法律上しかたなくそう言ったのか、いろいろな問題もあると思うけど、

 

めだかではその人がちゃんと持っている名前で呼ぶ様にした。

 

名前で呼び合う関係っていいものだなぁと今、思っています。

 

大人が名前で呼び合っているのを子どもはいい影響があって「あぁお母さんはこの人を信頼しているんだなぁ」と子供は見ているみたいです。

 

名字で呼ぶのと下の名前で呼ぶのでは、親との関係を子どもは見ているから、

子どもがよそのおばちゃんに信頼感を持つ時のレベルが随分違うなぁというのは感じとしてありました。

 

他の子どもにも我が子と同じように対する、とこういう風に言うと簡単だが、一番問題になるのは、けんか。

 

人気のあるお母さんのひざの取り合い。

そのお母さんの子どもはポツンとしている。

 

人気のあるお母さん、子どもと上手に遊べないお母さんが出てくるが、親の会、めだか通信を通じて話し合って、乗り越えてきました。

 

こんな事があった。

子どもがけがをして、その場面を誰も見ていなかった。

 

対応として、病院に連れて行って、たいした事はなかったけど、その場にいた子、乱暴な子とか、親はピンと分かる。

 

その親がやられた子に対して「うちの子が、つきとばしたのか?!」と一番最初に、言った。

結局、その場で犯人捜しをやってしまった。

 

で、他の親は「うちの子が、けとばさなくて、あぁー良かった」って、その場はそれで終わっちゃった。

親の会では、それだけのテーマで話し合ったこともある。


責任の主体は、めだかである。

その子がやったから、その子の親の責任ではない。

 

結局、だれがやったのかは分からなかったけれども、そういう風に、けがやけんかについては話し合いをしてきました。


めだかでは我が子意識を捨てて可愛がっているつもりでも、「うちの子があの子をけがさせた」というと、やっぱり親は気が動転しちゃって、忘れてしまう。

 

当然だと思うけれども…。

反省として、「めだか全体で子どもに目が行き届いていなかった。
事故現場をだれも見ていなかったことが、反省だ。」という形になった。


その場ですぐ、犯人捜しをする。

我が子でなくて良かった。みたいなやり方をしないようにしようと話し合いで決めました。


けんかの時もさっと止めに入る。

止めに入る親というのは、なぐっている方の親。

どこまでさせるか…危険のない範囲で見とくというのはなかなかのものなので、親子が離れて、交じり合って遊んでいたら、よその子同士のけんかなら、よく見えるし、判断もつく。


基本的には、けんかをやらせるが、よその子のけんかを見ていたら、だんだん自分の子のけんかも、どこまでさせたら良いか、どこで止めたら良いかが、分かってきて冷静に見れる様になる。

 


やられる親も子もやられっぱなしだとつらいものがあるが。

めだかを一年でやめちゃう人もいたので、やめた時「あぁーつらかった。」やる方の親も「あぁこんなんで保育園に行って大丈夫だろうか」と思っている人もいたので表現するのは難しいが、3年いたら解決します。

 

だから、めだかに3年いてくれたらいいなぁ…と思う。

 


体づくりと、全人的発達。

 

極端に言えば、塾・スポーツクラブは皆さん目がチラチラいくと思うけど、他の事をやろうよ。というのがめだかです。


本をたくさん読んであげる。

自分にあった本を探すのは大変なので(めだかでも)、たくさん本を読んであげて、その中で良かった本を買ってあげるのが良いと思う。

 

めだかだと、手ごろな、その子にあった本を見つけやすい状況にあると思います。


本を読むこと、歩かせること、早期教育に偏らないこと、みたいなところで全人的発達を進めていきたい。」

 

 

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以上、これだけは復習(再確認)の為に必要なことを書きました。

人間って、人の話を聞いても、20~30%くらいしか頭に残らないんだ…と学校の先生が言っていたのを思い出したので、ほとんど95%は、言った所(話してくれた所)に書きました。


まだ、くわしく知りたい人、もう一度聞きたい人、けい子さんが録音(テープ)してくれていので借りてください。

 

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以上で、当時のレポートはしめられています。

 

何度読み返しても、母親としての姿勢や覚悟の深さに頭の下がる思いです。

 

 

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